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参議院60周年記念論文入賞者



私たちが夢見るこれからの日本

三重県 高田中学校 1年
河村 莉奈

 私たちの国日本は、すばらしい自然に囲まれた、美しい四季のある国です。また、独特の文化・伝統もあり、長い歴史も持っています。
 私の夢は、日本人がこの国に生まれ育ったことを今以上に誇れるようになることです。日本と言う国が、「あるアスリートがオリンピックで金メダルを取った国。」とか、「ある科学者がノーベル賞を取った国。」などの個人的、一時的な事だけでなく、私たちが参加して作り上げた誇れる母国であってほしいのです。
 たとえば、スウェーデンは福祉がしっかりしていて、老後も安心して暮らせます。また、スイスは有事に備えて、各建物には巨大な地下室があり、政府が国民の食料として一年分の小麦を保管している。など、危機管理がしっかりしています。うらやましいことですが、その裏側では、税金がとんでもなく高かったり、家を建てるのに膨大なお金がかかったり、また、一年前の小麦しか使えず、パンがとてもまずいのだそうです。でも、国民はこのような努力をしているからこそ、母国を誇りに思えるのでしょう。私たちの日本も世界中に誇れる国であってほしい。そのためには、私たち一人一人が心から日本を愛し、日本のために何か新しい事を始めなくてはならないと思います。
 先日、新聞に「愛国心」に関する記事が載っていました。私は「愛国心」というと、戦争時の「日本の国や天皇のために、自分の命をかけて戦う」という忠誠心のようなものを想像していたので、自分からは随分遠いところにあるものだと思っていました。でも、この記事から「愛国心」と言う言葉には、人それぞれいろいろな解釈があるのだという事が分かりました。今、私が考える「愛国心」とは、自分が生まれて、今も暮らしているこの日本という国を大切に、また誇りに思う気持ちの事です。
 私たちは今、百人一首の勉強をしています。その中では、季節の移り変わりや、人の心というものを美しい言葉で歌っています。一つ一つの言葉をとても大切にしていて、自分の感じた事を短い言葉でうまく表現しています。そして、千何百年後の日本に住んでいる私にまで感動を与えてくれています。目を閉じると、遥か昔、奈良や平安の風が吹いてくるようです。百人一首に出会い特に強く感じたことは、現代よりずっと人と自然との結びつきが強かったということです。風や波、月や花を命あるものとして尊敬していたのでしょう。このようなすばらしい文化を、世界中の人々にもっと知ってもらいたいと思います。そして、将来の日本の人々にも、自然を愛し、感じてもらいたいのです。そのためには、美しい日本の四季や、自然を守っていかなければなりません。
 最近は、世界中で地球温暖化がとても大きな問題になっています。私たちがエネルギーを使い、二酸化炭素やフロンガスを放出している事が原因で、地球全体の温度が上昇してしまっています。海面上昇により島々が沈み、消失してしまう砂浜も出てくるそうです。このままでは、日本全土が亜熱帯化して、四季がなくなり、桜の花の咲く時期も変わってしまう恐れがあるのです。
「いにしえの  奈良の都の  八重桜  けふ九重に  にほひぬるかな」
という歌を口にした時、自分の記憶の中の春を思い出し、それと重ね合わせて、遠い昔の平安宮中の風景を想像してみます。桜が終わってしまった京都に奈良から八重桜が届き、美しく咲きほこっている。桜を特別愛している日本人らしいきれいな歌だと思いました。もし、日本に四季がなくなってしまったら、きっとこの歌の微妙なニュアンスも感じ取れなくなってしまうのだろうと思うと、とても残念です。
 今生きている私たちが、すばらしい自然を子孫にきちんと残していかなければならないのです。私たちが生活の中で出来る簡単な環境保護もあります。できるだけ不要なものを買わない。物を大切に使う。再利用やリサイクルを心がける。など、小さい努力の積み重ねが地球温暖化を防止する基本となるのです。このことを考えるようになってから、今まであまり気にしていなかったエコマークやグリーンマークにも注意するようになりました。まだ中学生だからこそ、今、私たちが環境について真剣に考えなければならないのだと思います。
 先祖から受け継いだ日本の伝統や美しい自然を、次の世代にもプレゼントしていかなければなりません。季節を感じ、自然と触れ合い、守り続ける。それが「私たちが夢見るこれからの日本」を作っていく第一歩になるのです。