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参議院60周年記念論文入賞者



助け合っていく世界

東京都 板橋区立西台中学校 2年
大澤 友加

 新聞やニュースを見ていて思う。人間は平等ではないと。世界では1日に1万人以上の子供が死んでいる。世界のあちこちで起きている戦争の巻きぞえになったり、満足な食べ物や医療を受けられないために。また、世界には、1日1ドル以下で生活している「絶対貧困」といわれる状態の人々が約13億人もいるそうだ。
 今私たち日本の子供たちは、食べ物や着る物に不自由したことは一度もない。病気になれば病院でみてもらえる。やる気になれば、勉強だってスポーツだって好きなだけできる。でも、それって運がよかっただけ。もし、戦火の国に生まれていれば、死の恐怖におびえ、難民となり、住むところも食べる物もない生活をしていたかもしれない。運よく平和で恵まれた国に生まれたのだから、そうじゃない国の人々に手を差しのべることは当然のことだ。私たち一人一人はもちろんだが、国家としても、手を差しのべるべきだろう。
 私たちのお隣の国アジアにおいても、たくさんのことを耳にする。まだ内戦の続くイラク。テレビで見たイラクの子供たちが、援助物資だけでなく「学校」や「安全な遊び場」などを必要としていて、心のケアを求めていると言っていた。また、この前読んだ本の中で、カンボジアやラオスやタイなどの国境近くに地雷が多く埋められていることを知った。地雷によって多くの死傷者が出ている。被害者の多くは体力のない女性や子供。地雷は目に見えず、発見しにくく、どこに埋められたのか記録がないことも多い。半永久的に無差別に人の命をねらい続ける悪魔の兵器なのだ。また、地雷は人を殺すことを目的としているのではなく、負傷することによって、世話をする家族を含めて、その国の人を長く苦しめるための武器だという。だから火薬の量も少なめで、安く製造できるのだそうだ。人間とはどこまで残酷になれるのだろう。地雷を取り除くのは人の手によるところが大きい。日本からも地雷除去作業に加わる人もいるが、まだまだ少ない。もっと資金援助や人材派遣が必要だと思う。それから日本の人々に世界の現実を知らせることが大切だ。知らなければ行動することは出来ない。学校でも、総合の時間などに、国際協力・国際援助について勉強していく必要がある。
 そこで、私が考えるこれからの日本のあり方として、アジアのリーダーとなって、アジアの平和と発展のために努力することだと思う。しかもアジアの国々が大きく発展していくことは、いつの日か日本にも戻ってくる。もちろん助けてあげるなどという気持ちではいけない、同じ人間同志困ったときはお互い様なのである。アジアから貧困や戦争がなくなれば、次は世界に広げていけると思う。リーダーとなるべき日本・韓国・中国との間で過去に悲しむべき出来事がたくさんあったことを歴史の授業で学んだ。私たちが原爆や大都市の空襲の記憶を忘れることができないように、戦争中の日本のひどい行為を、韓国や中国の人たちも忘れてはいないだろう。しかし、アジアの発展のことを考えれば、力を合わせていかなくてはならない。
 ところで、私の小学4年の弟はボーイスカウトに入っている。その活動の一つにユニセフ募金がある。私も弟たちと駅前に立ってみた。そのまま無視して行ってしまう人も多い。でもたまに、募金と一緒に「ご苦労さま」と、声をかけてくれる人もいる。なんだか、お金を送った先の人たちに言われている気がして、すごくうれしかった。小学生のときは、ずっと募金集めの係に立候補していた。100円で、アフガニスタンでは抗生物質が43錠、注射針が32本購入できることを知った。私がジュースを1本がまんすることで、助かる命があるということを、私たちの税金の少しの額でもいいから、アジアの恵まれない人々に送ってほしい。大きな募金活動なのだ。そのため、アジアの現状を日本の人たちに広く知ってもらうことが必要だ。また、お金を直接援助するのも大切だが、現地の人たちが自活できるように、農業技術・食品加工技術など、いろいろな技術や知識を教えに行くことも日本に期待したい。そして、その国の未来をになう子供たちのため、学校建設や学資援助、教師の派遣なども。ちなみに私の夢は、発展途上の国で、教師になることだ。
 アジアがそして世界がかかえている問題はすごく大きい。内戦や貧困以外にも、急激な環境破壊の問題もあり、すぐストップをかけなくてはならないことも多い。日本が真のアジアのリーダーになり、高い技術力と経済力で引っ張っていってほしい。自分たちだけの利益ばかり考える時代は終った。平和で悲しみのない世界を作るため、日本に期待されるところは大きい。そして、私もほんとうに微力ながら手助けができたらなと思っている。