質問主意書

第213回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一三第一二四号
  令和六年五月十日
内閣総理大臣 岸田 文雄


       参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員石垣のりこ君提出聴覚障がい者が踏切を安全に横断できる赤色せん光灯に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石垣のりこ君提出聴覚障がい者が踏切を安全に横断できる赤色せん光灯に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「聴覚障がい者が赤色せん光灯を視認できずに踏切内に取り残された事案」については把握していないが、鉄道事故等報告規則(昭和六十二年運輸省令第八号)第三条第一項第四号に規定する踏切障害事故のうち、警報機が設置されている踏切において、聴覚障害者と列車が衝突し、又は接触したものについては把握している。

二について

 前段のお尋ねについては、全国における御指摘の「赤色せん光灯」が、踏切に接続する道路からどのように見えるのかは、把握していない。

 後段のお尋ねについては、政府としては、必要に応じて、御指摘の「赤色せん光灯」の状態について、鉄道事業者に確認を行うことにより対応することとしており、御指摘の「調査」をすることは考えていない。

三について

 お尋ねの「全方向警報灯が設置されている踏切」の数については、令和五年三月三十一日時点で把握している限りにおいては、全国で一万四千四百五十八箇所であり、警報機及び遮断機が設置されている踏切二万九千四百四十二箇所と警報機のみが設置されている踏切五百九十二箇所とを合わせた三万三十四箇所に占める割合は、約四十八・一パーセントである。

四について

 国土交通省としては、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十五号)第十一条第一項の規定に基づき定めた「国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(平成二十七年十一月国土交通省作成、令和五年十一月改訂)により、同法の趣旨等について、鉄道事業者を始めとする関係事業者等に対し、周知したところである。御指摘の「両方向から赤色せん光灯が視認できる」機能を踏切に備えるかどうかについては、各鉄道事業者が、聴覚障害者を始めとする利用者からの意見を踏まえ、踏切の利用状況や周囲の交通事情等の個別具体の状況を総合的に勘案して決めるべきものであることから、御指摘のように「通知を出す」ことは考えていない。

 なお、同省が開催した、学識経験者、鉄道事業者等から構成される「高齢者等による踏切事故防止対策検討会」が平成二十七年十月七日に取りまとめた「高齢者等の踏切事故防止対策について」において、「警報機(赤色せん光灯)を低い位置に増設すること又は全方位警報機(赤色せん光灯)を設置することを検討する」としており、鉄道事業者に対し、当該取りまとめを周知したところである。

五について

 お尋ねについては、御指摘の「赤色せん光灯」を御指摘の「三百六十度すべての方向から確認できる」機能を備えるものにするかどうかについては、各鉄道事業者が踏切の利用状況や周囲の交通事情等の個別具体の状況を総合的に勘案して決めるべきものであり、当該機能は全ての踏切において備えるべきものとまでは言えないことから、御指摘の「解釈基準」において御指摘の「追記すべき」とは考えていない。